PROJECT 2

ベンダタイランド立上げプロジェクト

2013年、ベンダグループ3番目の直接経営海外拠点をタイに設立。

Benda(Thailand) Co., Ltd. (ベンダタイランド)は、ベンダグループの世界展開における単なる一製造拠点ではない。「最小限の投資とランニングコストで、最大の利益を創出する」という明確な戦略で立ち上げ、今後のベンダグループの「ものづくり」のモデルケースとなることを目指している。将来的にはタイの第2工場建設を視野に入れ、隣接地を事前に購入。リング製品で年間500万個の生産体制がとれるように先手を打つ。新たなコンセプトで、それを具現化する様々な取り組みが始まっているのだ。

タイ進出への思い

ベンダタイランド工場

技術提携によるリングギアの国産化支援を目的に、最初にタイに進出したのは1990年。ビジネスパートナーである自動車部品工業(株)からの申し入れがあり、合弁会社として10%程度の出資比率で設立したのが, Jibuhin Thailand Co.,Ltd. (自部品タイランド)だ。立ち上げ後、早い段階から利益が出て、配当金収入も得られる順調な滑り出しと思われたが、1997年のアジア通貨危機により、タイバーツの価値が半分に急落。外貨借入により、またたく間に債務超過に陥り、翌1998年に増資することで、なんとか事業を継続した。このとき、「為替には勝てない」ことをつくづく味わったと、八代恭宏前会長は回想していた。
また1999年には、当時、ベンダ工業の売上の10%相当を占めていた自部品タイランドへの素材供給の道が途絶えるという苦労も味わった。こうした紆余曲折を経験に変えながら、韓国、中国に次ぐ進出先として選んだ地、タイでの新たな自社拠点の設置を夢に見ていたのが恭宏前会長だ。夢を実現する前に2011年、中国青島で急逝したが、恭宏前会長の想いはベンダ工業内でしっかりと受け継がれ、八代裕次郎マネージングダイレクター(MD)が中心となり、その想いを実現した。

ベンダタイランド概要

タイ王国法人Benda (Thailand) Co.,Ltd. (ベンダタイランド) は、今後も自動車部品の需要拡大が見込まれる東南アジアでの生産強化を図り、主要取引先のニーズに応えるベく、2013年4月に100%出資の現地法人として設立された。バンコクから約90キロ南東、タイ中部のラヨン県に位置し、ベンダグループとしては、韓国、中国に続く新たな製造拠点となる。
工場の生産能力としては、年間でリングブランク150万個の成形、リングギア70万個の加工、ドライブプレート30万台の組立が可能。2015年からはCO2ドライブプレート・アッセンブリーの生産が加わる予定である。

ベンダタイランド設立までの歩み

  1. 1990年 タイ・チョンブリ県に合弁事業であるJibuhin(Thailand) Co.,Ltd.(自部品タイランド)を設立。
  2. 1997年 アジア通貨危機。外貨借入により自部品タイランドが債務超過に。
  3. 1998年 自部品タイランドの増資により事業継続。
  4. 1999年 自部品タイランド向けの素材供給が他社への転注により打ち切られ、ベンダ工業が大きな影響を受ける。
  5. 2004年 自部品タイランドの累損を一掃。
  6. 2013年 4月にタイ王国法人Benda (Thailand) Co.,Ltd. (ベンダタイランド)を設立。5月に地鎮祭を行い、工場の建設に着工。11月に約3,300平方メートルの工場が完成。
  7. 2014年 2月にタイ工場開業式。8月にアクスルリングを初出荷。

ベンダタイランド設立戦略

成長を続けるASEAN市場。将来的にも大幅な需要拡大が期待され、日本の自動車メーカーがこぞって生産拠点の拡大を図っているのがタイだ。
取引先の現地化要求に応え、今後もASEAN市場でのリングギア供給元としての存在感を確固としたものにし、また、グループ内で製造コストを徹底的に削減した高収益体質の拠点としていくために設立したベンダタイランド。ベンダグループの海外戦略のうえでも、中国、韓国に次ぐ第三の海外生産拠点として、将来、主力となる重要な役割を担う。従来の取引先に加え、日系の現地法人を中心に新規の取引先開拓も今後進めていく構えだ。

ベンダタイランド設立のプロセス

2013年4月のベンダタイランド設立から2014年1月の生産開始まで、10カ月という異例のスピードでの垂直立ち上げ。建設当初から業務に携わっていた現地スタッフと、建設途中の2013年9月に現地入りした日本人スタッフとの連携・協力により、大きなトラブルもなく無事に工場を稼働することができた。
ベンダタイランド立ち上げに際し、重要な役割を果たしたのが八代裕次郎MDを中心とする日本人スタッフと、将来を見越してベンダ工業に受け入れていたタイ人研修生だ。八代裕次郎MDは製造・品質を含む全体の管理を、製造の技術指導を大鹿守技術顧問、ラインの構築業務全般を三藤俊二ゼネラルマネージャー(GM)、総務・経理をタイ語が堪能な松浦和美マネージャー(M)という日本人スタッフが分担。3名のタイ人研修生は3年余り、ベンダ工業で研修を受けた経験があり、ベンダスピリットを継承する人材が事前に育っていたため、工場の開業と同時に研修生が中心となり、現地採用の社員と共に製造から品質管理までの工程を順調に進めることができた。

ベンダタイランド工場設計コンセプト

安全性を追求した快適な作業環境は、効率の良い製造ラインから生まれる。そこでタイ工場が最も重視したのがリフトを現場へ導入しない「無駄なく工程が流れる製造ライン」だ。製品の製造が効率よくスムーズに流れるラインを設計。また、ISO9001・14001認証取得により、ベンダタイランドの全社的なシステムを構築していく。

1. 工場建設コストを最小に

ベンダタイランド設立から製造開始まで、10カ月という限られた期間内での立ち上げに伴い、工場建設と同時にインフラ整備を進め、設備も順次搬入していった。設備についてはグループで使用している機械を整備し、そこから4割をベンダグループ内で調達した。短い工期での垂直立ち上げであったが、コストも最小限に抑えることを目指した。

2. 生産現場の見える化

ベンダタイランドでは、生産効率および、段取り替えに伴うロスを極力抑えるため、製造品目をイナーシャリング、アクスルリング、ブランク、リングギアに絞り込んでいる。
さらに物流ロスを改善させるため「流れ」を意識したライン設計で、リフトを使わずに次の工程への製品の受け渡し、工程の一部を自動化して効率の良い大量生産体制を構築した。

3. 製造工程の標準化

全ての社員が複数の工程作業に対応できる「多能工化」を目指す事前教育を実施。特定の熟練者だけではなく、だれもが同等の水準の製品づくりができるように日本、韓国、中国で生み出された製造ノウハウの標準化も進めている。「品質は命なり」の精神をタイでも受け継ぎ、製品に反映するため「全員参加」「全員教育」を人材教育のテーマに掲げている。