ベンダ工業株式会社

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技術開発部 次長
片山 和彦
Kazuhiko Katayama
2003年入社
Future 01

Mission:小断面リングを開発せよ!

ベンダ工法によりグローバルTier1へと駆け上がってきたベンダグループ。
めまぐるしく移りゆく世界市場の中でそのポジションを維持することは容易ではないだろう。
CASEに代表される時代の変化から、内燃機関エンジン用製品から電動化製品への転換が予測される。
ベンダ魂を受け継ぎ、次世代を担う技術者たちの挑戦は始まっている―

これからの市場で求められるもの

ベンダグループの主力製品は、自動車の内燃機関エンジンに向けたものとなっている。2021年に策定された第3次中期経営計画「NEXT」において、内燃機関エンジンの需要は2030年にピークアウトすると予測されていたため、電動化商品と未来商品の比率を段階的にあげていく目標をたてている。ベンダ工法により培われた持続可能性の高い生産技術はリングギアに留まらず、さまざまな工業品に組み込まれるリング製品に展開することができると考えられた。

その足がかりとしてハイブリッド車に使用される「マスリング」の量産化に踏み切った。これまでの製造工程とは一線を画す大規模な設備投資となったが、本社工場のオートメーション化された生産ラインで順調に供給されることとなった。

こうして主力製品の一翼を担う新製品の第一歩が踏み出されたが、これはまだ序章に過ぎない。予測されたピークアウトは実感としてすでに到来していると考えるべきだ。次なる目標はEV用製品の開発である。エンジン用部品とは形状も要求される役割もまるで異なる未来商品に向けて、技術者たちの挑戦が始まった。

本社呉工場 マスリング製造ライン

本社呉工場にて、現行電動化車両向け新製品である『ハイブリッドダンパー用マスリング』の量産化体制を確立した。
2020年4月立上時点で、月産20,000台の安定量産化を実現。

EV用部品の開発「小断面リング」

こうして技術者たちに託された使命は、ベンダグループの行く末を左右するものとなったが、EV用部品の中で可能性が見出されたのが駆動ユニット用部品「小断面リング」である。部品の小型化はEVに限ったことではなく、エンジンにおいても小型・軽量化が進んでいるため、いずれにしても避けては通れない課題であった。

設計を中心に行う片山和彦(技術開発部 次長)が最初に取り組んだのは、リング成形工程のNC化である。これまでは断面積が一定以下になると、リング成形後に切削除去の工程を追加しなければならず、投入材料の増加によるコストの増大もあり、小断面のリング製品は受注困難であった。そういった経緯で取り扱いのなかったサイズの製品ではあったが、難しい工程をNC化することによりベンダ工法で生産できる可能性はあったため、技術開発部での設計・試作が進められた。

小断面リングは、既存製品とくらべて遥かに断面積が小さく、圧延材よりも細い線材の「曲げ」に対する耐久性や、切断、溶接、熱処理などの各工程で作業の見直しが必要とされる。まずはじめたのが、リング成形の前半工程となる「曲げ・切断・溶接」の技術開発。熟練した作業者の力量に頼らなければならなかった作業を、データの解析によりNC(数値制御)化にこぎつけた。

今後の開発では溶接以降の工程に取り組み、量産化に向けた挑戦が始まる。