EV用部品の開発「小断面リング」
こうして技術者たちに託された使命は、ベンダグループの行く末を左右するものとなったが、EV用部品の中で可能性が見出されたのが駆動ユニット用部品「小断面リング」である。部品の小型化はEVに限ったことではなく、エンジンにおいても小型・軽量化が進んでいるため、いずれにしても避けては通れない課題であった。
設計を中心に行う片山和彦(技術開発部 次長)が最初に取り組んだのは、リング成形工程のNC化である。これまでは断面積が一定以下になると、リング成形後に切削除去の工程を追加しなければならず、投入材料の増加によるコストの増大もあり、小断面のリング製品は受注困難であった。そういった経緯で取り扱いのなかったサイズの製品ではあったが、難しい工程をNC化することによりベンダ工法で生産できる可能性はあったため、技術開発部での設計・試作が進められた。
小断面リングは、既存製品とくらべて遥かに断面積が小さく、圧延材よりも細い線材の「曲げ」に対する耐久性や、切断、溶接、熱処理などの各工程で作業の見直しが必要とされる。まずはじめたのが、リング成形の前半工程となる「曲げ・切断・溶接」の技術開発。熟練した作業者の力量に頼らなければならなかった作業を、データの解析によりNC(数値制御)化にこぎつけた。
今後の開発では溶接以降の工程に取り組み、量産化に向けた挑戦が始まる。